気圧と自律神経

今回は”自律神経”について、深く掘り下げていきたいと思います。

  1. 自律神経が乱れている人は成人の9割
  2. 自律神経の働き
  3. 全身を巡る神経
  4. 自律神経失調症と心身症
  5. 心身症との違い
  6. 背骨などの骨格や姿勢と自律神経の関連性
  7. 気圧の変化による症状

自律神経が乱れている人は成人の9割

「自律神経」の認知が高まっていることもありますが、やはり1番の理由は、パソコンやスマートフォンの普及、新型コロナウイルス感染症拡大による生活環境の変化などの「ストレス」にあると思っています。

自律神経が乱れることによる不調の症状は、以下のようにさまざまです。

  • 頭痛
  • 首、肩のこり
  • めまい
  • 倦怠感、疲労感
  • 不眠
  • 動悸、息切れ
  • 低血圧
  • 胃の症状
  • 便秘、下痢
  • 不安感、抑うつ
ストレス

同時に複数の症状に悩まされる方もいますし、上記以外の不調を感じている方もいます。

自律神経というのは、私たちが生きる上で欠かせないシステムで、24時間絶えず働いてくれています。

しかし、自律神経はとてもデリケートで、ストレスの影響を受けやすいのです。

精神的なストレスもそうですが、肉体的なストレス、気圧や気温の変化による環境的なストレス、いろいろなストレスが自律神経に悪影響を与えます。

「ストレス社会」といわれている現代において、自律神経が乱れていない人は約10%しかいないといわれています。

残りの90%の人は、自律神経のバランスが崩れていて、何らかの症状が出ていてもおかしくないのです。

そして、もう1つ。現代人に多いのが、「骨格の歪み」です。

猫背

パソコンやスマートフォンの使用率の高さから、骨格の歪み、ストレートネックや猫背、反り腰に悩んでいる方がいますが、これも、自律神経を乱れさせるストレスの1つです。

では、ここからは、「自律神経」とは何なのか?という部分を詳しく紐解いていきます。

自律神経の働き

自律神経は、私たちの身体に巡る神経の1つです。

内臓や血管、生きるために必要なものの働きを自動でコントロールしてくれる神経です。

例えば、

  • ・就寝中の無意識下でも、しっかりと呼吸をしてくれる
  • ・食事をすると自動的に胃腸が活発になり、食べ物を消化してくれる
  • ・暑い時には発汗をして体温を下げるように調節してくれる

私たちが「そうしたい」と思わなくとも、勝手にしてくれる、それが、自律神経です。

私たちの身体は、体内の環境に大きな変化が出ないよう、一定に保つ恒常性が備わっています。
自律神経は絶えず、この恒常性を保つために働いているのです。

全身を巡る神経

私たちの身体に無駄は1つもありませんが、中でも、脳や内臓、血管といった器官が重要であるのはいうまでもありません。

これらのコントロールを行っているのが、神経で、大きく分けて2つ、細かく分けると4つあります。

① 中枢神経

中枢神経

人間の生命を保つ”司令塔”となるのが、中枢神経です。
名前の通り、中心的な神経で、脳と脊髄で構成されています。

司令塔というと、脳からのサインを思い浮かべる方も多いと思いますが、首~背骨にあたる脊髄もとても重要な神経です。

中枢からの指令を末梢神経に伝達したり、巡ってきた情報を受け取る役割があります。

② 末梢神経

末梢神経

末梢神経は、体内のそれぞれの器官と密なやり取りをする役割があります。

例えば、脳や脊髄からの指令を全身に届けたり、各器官から送られてきた内容を中枢に伝えたりします。

網目状に全身くまなく広がる神経で、自律神経と体性神経とに分かれます。

<1>体性神経

体性神経

体性神経は、感覚神経と運動神経をまとめて表したものです。
私たちの感覚や運動する上での重要な神経で、自分の意思でコントロールできるのが特徴です。

感覚神経:冷たい、温かい、柔らかい、固い、痛い、そういった感覚を感知して脳に伝達します。

運動神経:手足や首、身体を動かすにあたって重要なはたらきをします。

<2>自律神経

自律神経

脊髄は、脳の視床下部~腰まで、神経の束で繋いでいますが、自律神経もこの束から全身に巡っています。

自律神経と背骨の歪みが関連するというのは、この背骨のラインから自律神経が分布していることにあります。

自律神経は、さらに2つ、交感神経副交感神経に分かれています。

交感神経:主に日中、活動している時、興奮している時に優位になります。

副交感神経:主に夜間、心身ともに休んでいる時、食べ物を消化している時に優位になります。

自律神経失調症と心身症

自律神経失調症の症状

何となくの不調から、日常生活に支障をきたすものまで、少々の現れ方には個人差がありますが、共通しているのは検査をしても何も異常が出ない点です。

また、このケースの場合、ホルモンや免疫のバランスも崩れていることが多いので注意が必要です。

自律神経失調症

<全身症状>

  • ・何となくだるい
  • ・眠いのに眠れない
  • ・疲れがとれない

<器官的症状>

  • ・頭が重い、痛い
  • ・首周りや肩、肩甲骨のこり
  • ・動悸や息切れを感じる
  • ・立ちくらみやめまいがある
  • ・のぼせや冷えを感じる
  • ・キリキリとした胃の痛みや吐き気、食欲がない
  • ・便秘や下痢

<精神的症状>

  • ・イライラする
  • ・不安にかられる
  • ・情緒不安定
  • ・抑うつ症状

当院に相談に来る患者さまは、上記のような症状にお困りの方が多いです。

  • 自律神経失調症と診断されたものの、一向に良くならない
  • 体調不良があるが、「精神的なものではないか?」との診断を受けた。時に覚えがないので、自律神経に問題があるのかと思い相談に来た
  • 当てはまる項目が多く、改善したい思いで受診した

来院理由はさまざまですが、「病院に行ったけど、改善されない」、「症状が辛いのに理解してもらえない」、「精神的なストレスはとくに覚えがない」という方が多いです。

心身症との違い

心身症というのは、身体の症状の背景に心理社会的な要因が関係していることを指します。自律神経失調症とは似ているようで、異なるものです。

心身症

心身症は、特定の臓器、器官に症状が強く出ますが、自律神経失調症の場合は、身体の色々な部分に症状が出ます。

また、心身症の場合は、胃潰瘍などの疾患が出ることもあります。(※ただし、胃潰瘍の原因が全て心身症とは限りません。)

体質や生活習慣が影響しやすい自律神経失調症に対し、心因性の要因が強いのが心身症です。

自律神経失調症の場合は、症状が日によって大きく異なり、調子の良い時、悪い時の波があります。

しかし、ストレスが自律神経失調症の原因になるため、自律神経失調症=精神的なものではないと伝えるのは少々難しいところです。

背骨などの骨格や姿勢と自律神経の関連性

自律神経失調症をみるにあたって、私は、骨格の歪みや背骨、普段の姿勢、肩こり・首こりなどを重要視しています。

骨格の歪みがあるとどうしても、自律神経の働きが低下し、自律神経失調症の症状を引き起こしてしまうからです。

背骨の歪み

私が長年診てきた患者さまの中にも、骨格の歪みをとることで、症状が改善した方がたくさんいらっしゃいます。

当然、骨格だけではなく、生活習慣や精神面など多方面からアプローチしていくことが必要になりますので、是非、お気軽にご相談いただければと思います。

気圧の変化による症状

雨の日、湿気の多い月、低気圧が近づいている時などに症状が出る方もいます。

多い症状としては、以下のようなものがあります。

  • めまい、吐き気
  • 頭痛
  • 肩、首、背中のこり、痛み
  • 倦怠感
  • 関節痛
  • しびれ
  • 低血圧
  • 動悸、息切れ
  • 不安感
  • アレルギー症状

気温や気圧の変化は、意外と身体にとって大きなストレスとなります。

大気圧は、空気の圧力のことで、地球全体を覆っています。

私たちは普段、この圧力を肌で感じることはありませんが、12~15tものの圧力がかかっていて、これを押し返す力をはたらかせています。

また、気圧は耳の奥にある内耳(ないじ)と呼ばれるところで感知しています。

気圧の変化による人体への影響

気象病や天気病でよくめまいが生じるのは、この内耳の平衡感覚と視覚のバランスが乱れることに起因しています。

低気圧になるとバランスが崩れますが、脳がうまくコントロールできなくなると、めまいが起こるのです。
※体調を崩さないポイントは、内耳付近の血流をよくする事でほとんど防げてしまいます。

自律神経にも影響を及ぼすため、天気の悪い日はとくに自律神経失調症の症状が出やすいです。

自律神経が通っている首の部分が凝っていたり、傷んでいると、気象病の症状も出やすくなりますので、首こりや肩こり、背骨付近の凝りは日頃から注意して生活することをおすすめします。

例えば、デスクワーク中の小休憩で首を動かす、スマートフォンをみる時の姿勢に気をつけるなどは、今日からでもできる首こり対策です。

当院は、自律神経失調症と気象病、両方の症状に悩まれて受診される方も多いです。

6~9月はとくに、梅雨、ゲリラ豪雨、台風と気圧に変化が生じやすい季節となりますので、是非、自分の身体を守るためにも、自律神経失調症の施術をお試し下さい。

PAGE TOP