秋の養生

蒸し暑かった夏が終わり、冬の気配も感じられるようになりました。

暖かかった日々が一転、ぐっと冷え込む日もあり、どんな服装で過ごせばいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。

季節の変わり目は、気温の変化だけでなく、乾燥も伴うため、体調不良となる方もいらっしゃると思います。

エネルギーが最も活発になる夏の「陽」が「陰」に代わり、秋分の日から12月の冬至まで徐々に「陰」が増えていきます。つまり、エネルギーが活発になる季節は終わり、これからはエネルギーを節約する季節へと移行していくのです。

「一物全体」「身土不二」「陰陽調和」「自然なもの」の4つは、食を通じて得られる健康のポイントです。

一物全体…..食材の一部ではなく、全体(野菜の皮など)をいただくことでエネルギーをもらう

身土不二…..住んでいる土地の旬のものを食べることで、大地のエネルギーをもらう

陰陽調和…..「緩める力」を意味する陰と「引き締める力」を意味する陽という、相反するエネルギーのバランスをとること

自然なもの…..伝統的な製法で作られた調味料、農薬や添加物などの化学物質を含まない自然な方法で作られた素材、自然界にある食品を中心とする

これらの考え方の基礎となるのが、陰陽五行説です。

陰陽五行説とは

陰陽の概念は、古代中国の書物「易経」に由来しています。この易経によると、宇宙に存在するすべてのものは、陰と陽の両方の側面を持っているとされています。

陰は静寂や冷たさを表し、陽は活動や温かさを表します。

また、「陰」と「陽」は、木・火・土・金・水の5つの気(万物の要素)に分けられます。これを五行といいます。これらの元素は、天と地のサイクルを表していると言われ、バランスが整っていると健康で、崩れると、病気になると考えられています。

例えば、心身が陰の時は、陽の性質を持つ食品で補い、バランスを取る。逆に、心身が陽の時は、陰の性質を持つ食品で補い、バランスをとります。

陰陽五行と秋の季節

秋を「黄金の秋」「白の秋」と呼ぶのを聞いたことがありませんか?

実はこの表現は、五行説が発祥です。

五行はそれぞれ、春の木、夏の火、長夏の土、秋の金、冬の水という四季に対応しています。

また、色にも対応しており、木(春)を表す青、火(夏)を表す赤、土(長夏)を表す黄、金(秋)を表す白、黒(水、冬)の5つに分けることができます。

秋に対応するものが金、そして白なので、「金秋」「白秋」と言われるのです。

秋に起こりやすい体調不良は?

この5色は互いに異なるだけでなく、異なるレベルの「気」に対応しています。

肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓の5つの臓器とそれぞれ対応しており、食べるものによってこれらの臓器の働きが左右されるのです。

このうち、秋の季節は「肺」とされています。

秋になると、咳や鼻づまりになることが多くなりませんか?

秋は空気が乾燥し、体調を崩しやすくなる季節です。

乾燥した空気は鼻や口から肺に入り、肺の水分が少なくなると、空気の通り道である気道や呼吸器に、のどの痛みや咳などのトラブルが起こりやすくなるのだそうです。

肺の乾燥は、便秘や髪のパサつき、肌の乾燥なども引き起こしやすくなります。これは、大腸と体の表面の水分が、肺と密接に関係しているといわれているからです。

秋に食べるのがオススメの食材

先ほどもあったように、秋は乾燥が起こりやすい時期です。

肺をはじめ、全身の保湿に良い食材と、それを生かした調理法がおすすめです。

肺の機能を高めるには、苦味、甘味、酸味、適度な辛味のある食品を摂ることが肝心です。また、これらの食品には、涼性、平性、温性があることが望ましいとされています。

毎日の献立を組む際に参考にしていただければ幸いです。

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