体内を冷やさないための胃腸のツボ

中国最古の医学書として知られる『傷寒論』(しょうかんろん)には、その名前の通り、身体を冷やすのは良くないと書かれています。

例えば、風邪をひいた時の対処法として、「桂枝湯(けいしとう)を飲み、少ししたら、熱いお粥を食べてください。なまものや冷たい飲食物は避けましょう。」といった文言があります。

1700年前の中国には冷蔵庫もありませんでしたが、身体を温め、冷たいものを避けるといった対処法が記されているのです。

今の日本の夏といえば、冷房の良く効いた部屋で冷たい飲み物を飲み、アイスを食べることも良くあると思います。身体を冷やすのは良くないことだと分かっているはずですが、それでもこういった過ごし方を当たり前のように行っている人がたくさんいます。

お腹の冷えは、夏風邪、食欲不振、倦怠感、下痢の他、頭痛や肩こり、めまい、耳鳴りといった不定愁訴の原因にもなります。また、長引く五十肩もお腹の冷えが関連します。

日本人の今の生活スタイルでは、体調不調や夏バテを訴えるのも無理はないのです。

身体の冷えの改善には、「足三里」(あしさんり)と呼ばれるツボが効果的です。

腹痛、下痢、嘔吐の他、膝痛、足のしびれ、歯痛、歯槽膿漏にも効くとされます。

夏風邪の予防や、夏バテにも効果があり、ドラッグストアなどで市販されている温灸(おんきゅう)を1日1個、「足三里」に貼るだけでも効果があります。

また、吐き気があるのになかなか吐けない時に押すと、自然に吐けるといわれるツボでもあります。『奥の細道』で知られる松尾芭蕉も、旅の道中で「足三里」にお灸をすえて旅をしていたといわれています。

身体の冷えに良い食品の中では、甘酒が一番おすすめです。

昔は「夏を乗り切るための栄養剤」のように扱われていたこともあるくらい、甘酒は身体に良いものとされています。また、甘酒は”夏の季語”としても使われます。寒い冬に飲むイメージがありますが、和歌の世界において”夏”を表しているというのは、とても面白いです。

お腹が冷えた時は、温かい甘酒に生姜を少し加えるとより身体がポカポカしてきますよ。

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